・プレイしたゲーム
- It Never Snows(Gamers/GMT)
・プレイの内容
It Never Snows。フルマップ5枚のマーケットガーデン作戦をテーマにしたゲームです。
ルールはSCSなので難しくなく、1ターンは12時間とマーケットガーデン作戦ゲームとしては長め、ということはターン数が少ない、ということです。プレイアブルなビッグゲームとして期待はかかるのですが、問題はルールがオリジナルのままだとゲームバランスが悪い、というかゲームにならない。というわけで、ハウスルールをいろいろと入れることにしました。
今回のプレイも、ハウスルールを入れてのプレイです。
1日目:前日、HGSの5月第1例会終了後新幹線で横浜は鶴見の宿に泊まったHGSからの遠征組は、YSGAにお邪魔してIt Never Snowsをプレイさせてもらうことになりました。
一応事前にくみ分けはしてあったのですが、YSGA組は、時間の都合もあってぶっつけ本番。若干の不安を抱えつつも、定刻にセットアップを開始して、メンバーがそろうのを待ち、10時にはプレイを開始します。
が、第1空挺師団は、空挺降下で腐ったさいの目を連発、「ハウスルール:フロスト大隊が編成できなければ第一空挺師団は空挺降下のさいころを振り直す」を発動する羽目に陥ります。振り直した空挺降下は順調にいき、なんとかフロスト大隊を編成でき、アルンヘム道路橋北岸ヘクスに4ユニットをスタックさせることができました(この4ユニットスタックが編成不可能な場合に、第1空挺師団の降下をやりなおすのです)
それ以外の降下は、別段特別ルールもないし、そもそもゲームバランスぶちこわすようなスカッターも起こす可能性すらないのでするすると降下していきます。30軍団も空挺部隊に呼応するかのごとく進撃を開始します。
第2ターン。第1空挺師団本隊と、フロスト大隊とはいきなり切り離されます。史実通りだからしかたありません。82空挺師団はナイメーヘンを目指しつつ、東方から現れる雑多なドイツ軍部隊に備えて防衛線をはりにかかります。101空挺師団は史実と違ってソン橋を無傷で確保。ドイツ軍は59歩兵師団をソン橋奪回には使わず、フェーフェル方面にシフトさせて行きます。
第3ターン。第1空挺師団は作戦を防御に完全に切り替え円形防御陣地を組みます。82空挺師団はナイメーヘンへの攻撃計画を練りつつ防衛計画も立てるという2つの作戦を平行して実施、101空挺師団は、59歩兵師団の圧力がないので安心して部隊を展開させます。ドイツ軍はといえば、さらに59歩兵師団を北上させ、フェーフェルとフラーフェの間で連合軍の側面を脅かすことを考えます。107装甲旅団は、82空挺師団方面に展開、82空挺師団を撃破することでドイツ軍の進撃を止めることを意図します。これは、広島でも行われた定石です。が、問題は30軍団の進撃が広島でのプレイ時よりもはやいこと。これはソン、フェーフェル、フラーフェのどの橋も爆破に失敗したことで生じた現象です。107装甲旅団の攻勢は間に合うか、それとも……。
第4ターン。不用意にスタックしていた107装甲旅団先遣隊が連合軍に空爆されて壊滅的な打撃を受けます。このゲーム、航空支援はすべて空爆、という形で与えられるのです。そして、連合軍の空爆は、1D6して4以下で命中(村にいると3以下、都市にいると2以下)。命中すると1D6して4以上で1ステップロスなのです。そして空爆はマップ上どこにいても受けてしまうというおまけつき、空爆、砲撃が命中すると混乱状態になり、混乱状態になると自軍プレイヤーターン終了時までZOCなし、防御力半減、移動力半減、突破移動不可さらにハウスルールで攻撃不可(本来のルールだと攻撃力半減)になるというペナルティが科せられるのです。ドイツ軍は強力なスタックを不用意に作るべきではなかったのです。
第1空挺師団は砲撃でドイツ軍の攻撃部隊を混乱させつつ、防御。30軍団は第3ターンまでファルケンスーバーストで手こずっていたものの、進撃を止めることなく前進中。101空挺師団はすべてが順調。
第5ターン。フロスト大隊は砲兵に撃たれまくりながら忍の一文字。第1空挺師団本隊はといえば、ドイツ軍の圧力に補給投下ポイントを守りながらひたすらやっぱり耐える時間が続きます。82空挺師団はドイツ軍の圧力を受けて後退中。とはいえ、30軍団がもうフラーフェを渡っているので状況は明らかによくなってます。101空挺師団は、30軍団境界線(30軍団は、地図上に描かれてる線を越えてドイツ軍を追っていくことができないのです)を超えて、ドイツ軍の掃討に出かけていきます。30軍団は、順調に進撃。
第6ターン。アルンヘムのフロスト大隊はステップロスが厳しい段階に到達。30軍団が到達する前にフロスト大隊が救出されるのは無理、ということははっきりとします。
とはいえ、82空挺師団はナイメーヘンの橋を確保に成功、連合軍はついにワール川を超え、ドイツ軍の制空権下(そう、このゲームでは、なぜかルフトヴァッフェの空爆がワール川の北で行われるのです。数は1D6で上限が5。命中率は1D6して2以下)に突入していきます。101空挺師団は、第59歩兵師団の不用意な配置(道路上にユニットを置かず、ZOCで守っていた)をみて、空爆でZOCを消して戦線後方の砲兵部隊を機械化部隊で蹂躙。59師団はここに事実上壊滅することとなります。
30軍団は続々と増援が到着、前へ前へ。
第7ターン。フロスト大隊は全滅の2文字が点滅するところまでやってきます。第1空挺師団本隊にも、補給源そばまでドイツ軍が迫ってきて黄信号がともります。101空挺師団は残敵掃討中。30軍団は工兵をつかって更にワール川を渡河。しかし、最大の事件は82空挺師団戦区で起きました。82師団戦区最右翼が、どういうわけか平地なのに弱体な歩兵部隊や砲兵部隊の単線で守られていたのです。
襲いかかるのは30軍団から戦線補強のために回されていた機械化部隊。突破されるドイツ軍戦線、結果起きたのは、82空挺師団戦区のドイツ軍が、107装甲旅団を含めて、「全部」丸ごと包囲されるという結末でした。
ここで、一日目が終了。戦いは2日目へとうつります。
・2日目
2日目は、本来9人になるはずなのでどうしようかと思っていたのですが、急遽欠席になる方があったりで結局7人のプレイになりました。でも、途中参加で流れがわからないというのもどうかな、ということになり、2卓たてて、途中参加の方は、ノーザンヒストリカルシナリオ(マップ2枚のシナリオ)をプレイすることになりました。私はそちらにうつってプレイしました。
でも、プレイ記は、とりあえず、メインのキャンペーンの方を引き続きまとめて書いてから、ノーザンヒストリカルシナリオの方の話にうつりましょう。
8ターン。82空挺師団方面ドイツ軍は、大脱出作戦を開始。合い言葉は自由。マンシュタインよろしく、東方の増援登場ヘクス方面ではなく、西方のフラーフェ橋方向へと突破しようという大胆な作戦です。が、この作戦、なんと肝心の攻撃がピンゾロで頓挫。優れた戦略がくされた戦術でだいなしになってしまいました。このターン、ポーランド空挺旅団も降下。ドイツ軍の真上へ。もちろん壊滅的打撃を受けてました。第1空挺師団は、なお心臓が動いてるのを喜ぶのがやっと。フロスト大隊は壊滅。
9ターン以降11ターン(ここから私はノーザンヒストリカルシナリオにかかりきりだったので、最終ターンしかみてないのです)
ドイツ軍はネーデルライン川を最終防衛線として守るべく戦線を張ります。取り残されたドイツ軍部隊は嫌がらせのための機動をしますが、連合軍の残置部隊に対応されます。連合軍はネーデルライン川に張り付き、43師団アヒル部隊(DUKW部隊)がついにネーデルライン川を渡河、壊滅したフロスト大隊にかわってアルンヘムめざし進撃開始、というところでプレイ時間終了。ま、これで連合軍が勝てないようならゲームとして問題あるんでね? というぐらいのところでお開きになりました。
一方のノーザンヒストリカルシナリオ。これは本体についてるシナリオではなく、ギークに上がってる同人シナリオです。82空挺師団戦区と、第1空挺師団戦区のみのマップを使ったキャンペーンです。シナリオとしての出来は結構いいのですが、一部ヘクスの書き間違いとか、ユニットの書き間違いとかあるので、そこは補完する必要があります。
まあ、そこらは常識で判断できるので問題ないとしてプレイ開始。こちらは第1空挺師団がふりなおしする必要なくフロスト大隊編成可能な降下を行えました。82空挺師団も無事降下に成功。その後第1空挺師団は必要最小限度の防衛部隊を西方に置いたまま、アルンヘム方面に向かって全力攻撃を決行します。一方の第82空挺師団の方はナイメーヘンへの攻撃準備を開始。このシナリオでは空軍が1マーカーは1ターンに使えるので、これでドイツ軍への嫌がらせ攻撃をしかけてきます。
しかし、第1空挺師団の攻撃には、盲点がありました。ドイツ軍には機械化部隊がいたのです。側面を機械化部隊が攻撃。戦線を6ゾロで突破、突破移動で第1空挺師団の補給源を踏んだのです。第1空挺師団は前線に全兵力をつぎ込んで攻勢に出ていたので、これで全部補給切れ、攻守はたちまち入れ替わります。一方の82空挺師団。ナイメーヘン方面で攻勢に出た反動で東方防衛線では劣勢を余儀なくされます。このシナリオでは107装甲旅団が攻めてくることはないのですが、ドイツ軍にはそれでも機械化部隊がありました。戦線を機械化中隊が突破、30軍団の登場ヘクスの手前に陣取ります。とはいえ、これは嫌がらせの域を超えませんでした。空爆と砲撃で消し飛ぶ機械化部隊。30軍団はなだれ込んできます。しかし、第5ターンに現れた30軍団、残念なことにすべてをひっくり返すには数がすくない。ワール川を超えて第1空挺師団をすくいつつ、82空挺師団を救うには手がまわりきらないのです。特に、ドイツ軍のさいの目が走って、第5ターンにフロスト大隊が全滅していた日には。
第6ターン、連合軍がナイメーヘンの橋を確保した一方、ドイツ軍がアルンヘムポンツーンを架橋して連合軍阻止のためにアルンヘム攻略部隊をワール川方面に転用しようとする、というところで、ゲームは時間切れとなってました。
・感想
広島でのテストプレイとは、全く逆の結果になりました。広島組が練習していた一方YSGA組が練習してなかったこともあるでしょうし、ドイツ軍が主要な橋の爆破にことごとく失敗したという出目の腐り具合も影響したでしょう。このゲームは、ルールが簡単とは言え癖があるので、練習してないと厳しいですし、橋の爆破の影響が大きいので、橋が落ちると落ちないとで展開が極端に変わるのです。橋が一本も落ちないと今回のプレイみたいになりますし、1本落ちると連合軍は厳しくなりますし、2本落ちるようなら連合軍はまず勝ち目がありませんし、3本落ちたらその時点で投了ものでしょう。4本落ちたらって? ルール上連合軍は勝てません。
架橋工兵は、3ユニットしか連合軍に与えられてないのですから。
意外だったのは、キャンペーンが2日かけて終わらなかったことです。広島でのテストプレイ時、3人でプレイして12時から7時までと、12時から10時までのプレイで15ターンまで進んだので、7人で2日あれば17ターン完全に終了すると思っていたのですが、結果は2日で11ターンでした。まあ、2日目は実質3人でのプレイになっていた影響はあるのかもしれませんが、一日目の進み具合も早くはなかった気がします。
It Never Sonws。Izumo氏にいわせると、はっきり悪い出来なのだそうです。K田氏の評価では、駄作をハウスルールで凡作にしたというものです。YSGAの方々がどう評価されたか、それは私には分かりません。聞きそびれてしまいましたから。私はハウスルールで修正すれば、悪くはないゲームだろうと思います。オリジナルールのままでは、そもそもルールの記述が足りてないからプレイできませんが。今回のプレイでは、デザイナーにわざわざ問い合わせる、ということまで必要になる始末でした。いずれにせよ、オリジナルルールでやるなら、ヒストリカルシナリオはやめておきましょう。ゲームバランス以前に、ルールの記述が足りません。このゲームは、フリーセットアップシナリオ(シナリオ5.1)をやるのが正しいプレイ方法です。というか、それ以外想定してない節があります。そのせいで、ヒストリカルシナリオをプレイするために、ハウスルールを作る必要に迫られてるわけです。
(ハウスルールが必要な理由は、ほかにもいろいろとありますが)
デザイナーに問い合わせると言えば、CRTの見方で、意外な回答が帰ってきました。戦力比は、いったんCRTに当てはめてから、戦力比修正を加えるのが正しい。従ってどれほど戦力比が大きくなろうとも、戦闘力比修正が加わる地形では5:1の戦力比のコラムは使わない。ということだそうです。じゃなんで都市の戦闘結果がCRTに書いてあるんだよといったら、消し忘れなんだとか。そんなのわかるわけないじゃないですか。都市の戦闘結果が最大戦力比5:1の欄に書いてあるから、たくさん対1は最大戦力比のコラムを使うものだと判断したのに。もっとも、ゲームバランス上はたくさん対1は、最大戦力比のコラムを使う方がよくなると思います。ただでさえレーティングでドイツ軍有利なバランスなのに、ことさらドイツ軍が有利になるようルール設定しないほうがゲームバランスとれますから。
最後になりますが、YSGAの皆様、このたびは本当にお世話になりました。
機会がありましたら、またよろしくお願いします。
もし、広島にこられることがありましたら、そのときには是非顔を見せていただければ幸いです。
以下余談。
帰りの新幹線で、izumo氏と雑談してました。その中で、さいころを使わない大逆襲システムのゲームだとどんなテーマがいいだろうという話題も出ました。
日本語でいい資料があれば、1943年のドニエプル戦もいいんじゃないか、という話になったのですが、難しいだろう。コルスンは、ユニット数の問題で難しかろう。最初の冬モスクワ前面の第2次ソ連軍攻勢は、なんといってもドイツ装甲軍団シリーズ平野氏の傑作があるからいまさら作るのもなんだろう。じゃあ、ブダペスト救出作戦はどうだろうか、という話になりました。あれならゲーマー内じゃ、ビターエンドやブダペスト1945のおかげでそこそこ知名度もあるし。レッドタイフーンと違って、傑作と呼べるほどのゲームはまだ出てないし。基本的なシステムは世に出なかった某ゲームで出来てますし、このゲーム用のギミックも基礎的なアイディアは生まれてるようなので(たぶん、技術的な練り直しは必要になると思うけど、基本的な部分は健全なので、十分いけると私は思ってます)来年には形になってるかもしれません。
余談、その2
It Never Snowsが2日目の早い段階で終わると思って別なゲームをいっぱいもっていったけど結局It Never Snowsしかプレイしなかった。そうなると分かってたら荷物がもっと減らせたのに(笑)
余談、その3。
It Never Snows。サンセットのHPを見る限り、けっこう売れてるらしい。プレイはされてるんだろうか。
もし、プレイするなら、とりあえず地獄のハイウェイシナリオで練習するのがおすすめです。
あと、ギークのノーザンヒストリカルシナリオは必携だと思います。こちらで作成したハウスルールを使う使わないはべつとして、参考になることがいろいろ書いてあります。
余談、その4。
私は9人あつまるなら2卓たてようとか言ってたけど、実際に行ってみたらそんなテーブル数なかったです。会場のことをしらないと、好き勝手いえるものですね。
余談、その5。
多人数でプレイできて、2日程度で決着が見えるビッグゲームってどんなのがあるだろうという話題が、プレイ後の食事会で出ました。いろんなゲームの名前が挙がりましたが、「オペレーションタイフーンは偉大だ」という結論は揺るぎませんでした。
ほかのゲームは、ルールが複雑だったり、2日では決着がつかなかったり、そもそもゲームとして終わってたりするという話になるのです。バトルフォージアルデンヌは悪くはないのですけど、オペタイほどじゃないし、ウェーブオブテラーも今一だし、ヒトラーずらすとギャンブルはルールが複雑だし……という話になりました。ネバースノーズには、それだけに期待が大きかったのですが……。
余談、その6。
今のところ、ハウスルールは未完成の状態です。今回のプレイ結果を反映させる必要がありますし、まだDUKW回りの整理が完全には終わってません。そもそも、ルール解釈については、正規のルールを問い合わせる必要がある段階です。英文ルール自体が曖昧なんだからどうしようもないですけどね。
余談、その7。
余談その6とも関連しますが、ルールは少ないのがいいんじゃなくて、明確なのがいいと思うのは私だけでしょうか?
これも、プレイ後の飲み会、食事会で出た話題ですが。
余談、その8。
ここまで余談につきあってくださったかた、ありがとうございました。
余談もここまでくるととりとめがなくなるので、このへんで。
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